みつおデンタルクリニック
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その歯は本当に抜かないといけないのでしょうか?

その歯は本当に抜かないといけないのでしょうか?

2021/05/05

こんにちは!今回のテーマは「その歯は本当に抜かないといけないのか?」について

結論から申し上げますと、歯を抜く基準は歯医者によって違い、歯を抜く理由を患者さんが納得するまで説明できない歯医者に歯を抜かれるのは危険ということです。

虫歯や歯周病、根の病気がひどくて歯を抜いたことがあるかたはいらっしゃると思います。抜く前に歯医者から「この歯は○○だから抜かないといけない」と言われたと思います。

その、「○○」の部分は歯医者によって違います。例えば、A歯医者は、歯・レントゲンの状態を見せ、過去の治療の写真や論文などのデータも説明したうえで、その歯を抜いたほうがよいと言っています。一方、B歯医者は何も患者さんに見せず・説明せずに歯がダメだから抜かないといけないと言っています。両者を比較した場合、A歯医者の方が信頼性は高いと思います。説明の部分は、主にその歯医者の知識・経験・技術で成り立ちます。説明が曖昧で理解しずらいものであれば、おそらくその歯医者自身が歯を抜く理由・基準を整理できていないのだと思います。

私は、その歯は本当に抜かないといけないのか?を判断する時、その歯がしっかりと①乾燥できるか②細菌を除去できるか③(治療後)長持ちするか、の3点で決めています。

①しっかりと乾燥できるか

乾燥は、根の治療をする時と歯に土台を立てる時に重要です。乾燥できないというのは、水分である唾液や細菌が歯の根の中に入るので、根の病気が治りません。また、土台を歯に接着させる時、歯が乾燥していないと土台はくっつきません。不完全であれば、土台がすぐに取れてしまいます。

②しっかりと細菌を除去できるか

歯周病や根の治療の時、根や周りの骨の状態などを見て、しっかりと細菌を取り除き、治すことができるのかということです。状態が非常に悪ければ、残すことが困難になります。

③治療後、長持ちするか

根の長さ、周りの歯や骨が残っているか、歯にヒビが入っていないか(①②に大きく関係)、などを見て、せっかく残しても、その歯が長持ちするのかということです。歯にたてのヒビが入っている場合、ヒビに細菌が入り込むため、完全な乾燥、細菌の除去ができないことが多く、長持ちしないと言われています。

例えば下の写真の歯。歯が横に割れてしまっています。歯ぐきよりも低い所にしか歯が残っていません。歯ぐきは水分たっぷりで、少しでも刺激を加えると出血してしまい、乾燥ができません。細菌も根の中に入ってしまいます。この状態では上記の3点すべてを満たしておりませんので残すのは難しいという判断になります。

しかし、下の写真のように歯ぐきの中に埋もれている健康な歯を引っ張り上げて、歯ぐきの上までもってきた場合、歯の治療の際にしっかりと乾燥させることができるようになります(=歯を乾燥状態にするための器具がつけれるようになる)。根の状態も良く、①と②の条件を満たしました。また、根っこの長さが十分あり、たてにヒビもなく③の条件も満たしました。よって、この状態なら歯を抜かずに治療して残せる、ということになります。

このように、3点で判断するといっても、その歯を治療する歯医者によって3点の解釈が変わります。私が、長い目で見たら残さない方が良いと思う歯でも残せるという歯医者もいるでしょうし、その逆で、私が残せると言っても残せないという歯医者もいるでしょう。

歯は抜くともう同じ場所には生えてきませんので、私は歯を残すことを最優先します。しかし、残さない方がよい歯を無理に残して後で問題が起きることもあります。そのようなことを患者さんが理解できるまでしっかりと説明し、抜くか残すかを決めるのが私は良いと思います。

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