【症例】銀歯で歯が欠け虫歯が神経に感染。顎の骨が溶けた奥歯の根管治療
2025/09/14
こんにちは!大阪市北区のみつおデンタルクリニック 院長の高津光雄です。
今回は、過去に装着された銀歯(保険診療で一般的に使用される金属冠)が原因で歯がかけてすき間ができ、虫歯菌が神経まで感染し、顎の骨が吸収(炎症で溶けた状態)して、できものができた歯に抜髄(ばつずい:神経を取る治療)を行い、その後の経過で骨が再生した症例をご紹介します。抜髄は、深い虫歯や神経の強い炎症が自然には治らない場合に、歯を抜かずに守るために行う根管治療の一つです。
目次
初診時の状態
患者さんは右下の奥歯に強い痛みを感じ、夜も眠れないほどズキズキすると訴えて来院されました。痛みが長く続き、食事も困難な状況でした。
診察すると、過去に装着された銀歯が硬く、長年の噛み合わせによって歯の一部に細かいヒビや欠けが生じていました。その微細な隙間から虫歯菌が入り込み、二次的な虫歯が進行。レントゲン検査では虫歯が神経まで達し、歯の根の先端付近で炎症により顎の骨が大きく吸収している像が確認されました。いわゆる「骨が溶けている」状態です。感覚検査でも温刺激で強い痛みが長く続き、不可逆性歯髄炎の典型的な所見でした。歯ぐきにはできものもできており、骨が突き破られるほど進行していました。
治療方法の選択
考えられる治療法は次の通りでした。
1.神経を残す処置
軽度の炎症なら適応されますが、今回は神経全体に炎症が広がっており適応外でした。
2.抜髄(根管治療)
感染した神経を取り除き、根管内を清掃・消毒して密封し、歯を保存する方法です。
3.抜歯
根や骨の破損が大きい場合に検討されますが、この歯は保存可能と判断しました。
患者さんに各選択肢の特徴を説明し、同意を得て「2.抜髄による根管治療」を行うことに決定しました。
抜髄の流れと使用した器具・消毒方法
治療は複数回に分けて実施しました。
1.麻酔と防湿
局所麻酔を行い、唾液や細菌の侵入を防ぐためラバーダムで歯を隔離しました。
2.銀歯と虫歯の除去、神経へのアクセス
まず硬く装着されていた銀歯を外し、内部に広がった虫歯を丁寧に取り除いて神経がある歯髄腔に到達しました。
3.神経の除去
ニッケルチタン製の柔軟なファイルを用いて、湾曲した根管の神経を慎重に取り除きました。
4.根管の清掃・形成
・超音波チップによる振動洗浄で根管壁の細部まで洗浄
・洗浄液として次亜塩素酸ナトリウムを使用し、細菌や感染組織を化学的に除去
・最終段階でEDTA(エチレンジアミン四酢酸)溶液を用い、根管壁の無機質を取り除き薬剤が浸透しやすい環境を整備
物理的・化学的な清掃を組み合わせることで、根管内部を可能な限り清潔に保ちました。
5.薬剤の仮封
根管内が落ち着くまでカルシウムの薬を置き、仮封をして症状の変化を確認します。
6.根管充填
症状が改善したのを確認後、ガッタパーチャとバイオセラミックス系(MTA系)のシーラーで根管をすき間なく封鎖し、細菌の再侵入を防ぎました。
7.最終修復
歯に強度を持たせるため、新たに適合性の高い被せ物を作製し噛み合わせを整えました。
治療後の経過
処置後は数日間、噛むと軽い違和感がありましたが、次第に改善。再診時には自発痛もなく、普通に食事ができるようになりました。
治療から半年後のレントゲンでは根の先の炎症が落ち着き、吸収していた顎の骨が徐々に再生していることを確認できました。感染源を取り除いたことで体の自然な治癒が進み、骨が回復してきたと考えられます。
3年後のレントゲンでは骨がほぼ完全に再生していました。これからも長期的に安定した状態が保てるように経過観察していきます。患者様は非常に喜ばれました。本当に良かったです。
抜髄が必要となる理由
神経は温度や噛む刺激を感じる大切な組織ですが、強い炎症が根管全体に広がると自然には回復できません。放置すると炎症が根の先に膿をつくり、周囲の骨をさらに溶かしてしまう恐れがあります。
今回のように銀歯が硬く歯を割ったり欠けさせたりすることで隙間ができ、そこから虫歯菌が入り込むケースでは、見た目では気づきにくく、気づいたときには神経にまで感染が及んでいることがあります。定期的な検診と被せ物の適合チェックが再発防止には欠かせません。
ご自宅での注意点
治療後は次の点に注意していただくと安心です。
・治療直後は硬い食べ物を避ける
・優しく丁寧にブラッシングする
・痛み止めは指示通りに服用
・通院を中断せず、最後まで治療を完了する
よくあるご質問
よくあるご質問
Q. 神経を取ると歯は弱くなりますか?
A. 神経を取った歯は水分を失って割れやすくなる傾向があります。そのため被せ物で補強することが多く、長期的な安定を目指します。
Q. 通院回数はどのくらいですか?
A. 根管の形や感染の程度により異なります。数回で終わることもあれば、複雑な場合は時間がかかることもあります。
Q. 骨は本当に再生しますか?
A. 感染源を取り除けば、体の自然な治癒力で少しずつ骨が再生してくることが多いです。今回の症例でもレントゲンで再生を確認できました。
まとめ
今回の症例では、硬い銀歯が歯にヒビや欠けを生じさせ、その隙間から虫歯菌が侵入し、神経に炎症が起き、さらに顎の骨が溶けてできものができるくらい大きく吸収されていました。
抜髄による根管治療で感染源を取り除き、骨の再生を確認できました。
強い痛みやしみる症状がある場合は、放置せず早めにご相談ください。定期的な検診と被せ物の適合チェックも、同じトラブルを防ぐために重要です。
以上になります。ご拝読いただきありがとうございました。
みつおデンタルクリニック 院長
精密な検査と治療で歯を守る会 代表 高津光雄
健康な歯をできる限り削らない「ハーミノス虫歯治療法®【特許庁・商標登録】」を考案
オンライン相談等、SNSで医院の情報を配信中
大阪・梅田・天満の患者様に選ばれる精密な根管治療と虫歯治療を提供できるよう日々研鑽
【今回の治療について】
年齢:50代 男性
治療期間:2週間(経過観察期間を含まない)
治療回数:2回
治療費: 精密根管治療費 100,000円(税込)
【精密根管治療のメリット】
・歯を抜かずに残せる可能性が高くなる。
・歯が長持ちしやすくなる。
【精密根管治療のリスク・デメリット】
・外科処置が必要となる場合がある。
・骨が再生するには時間がかかる。
・治療途中に歯が割れたり、保存が不可能と判断した場合は抜歯になることもある。
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みつおデンタルクリニック
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住所:大阪府大阪市北区与力町4-15 ダイナスティ与力101
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高技術な根管治療を天満で実施
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