みつおデンタルクリニック
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骨が足らない時のインプラント:ガイドとソケットリフトを用いたインプラント治療について

骨が足らない時のインプラント:ガイドとソケットリフトを用いたインプラント治療について

2021/05/28

患者様は左上の奥歯が咬むと痛いということで来院されました。

診査の結果、左上の前から4番目と6番目の歯に連結したかぶせ物が入っているのですが、6番目の銀歯をかぶせている歯が割れておりました(黄色○)。患者さまは強い痛みを訴えておりましたので、状態を説明し、抜歯を行いました。

抜けた歯を補う方法として今回は入れ歯、インプラントが可能でした。それらのメリット、デメリットを説明し、患者さまはインプラント治療を希望されました。

CTでの精査の結果、抜歯したところは顎の骨が大きく失われていました。さらに前から4番目の歯にもヒビ割れが入っていることが判明しました。痛みなどの症状は出ていないものの、骨が無くなっておりました。

長期的に見た時に予後が悪いと診断し、患者さまと相談の結果、4番目の歯も抜歯し、4番目と6番目の歯の所にインプラントを入れることになりました。

インプラントは手術の安全性と、治療後に長持ちすることが望まれます。そのため私は、コンピューターガイデッドサージェリーを積極的に採用しております。

コンピューターガイデッドサージェリーとは、インプラント手術を行うまでに、専用のソフトを用いて、コンピューター上でインプラント治療を計画した後、手術用のガイド(マウスピースのようなもの)を作り、それを用いてインプラント手術を行うことです。

これにより、理想的な位置にインプラントを入れることができ、安全で正確な治療を行うことができます。この患者様にもコンピューターガイデッドサージェリーを採用しました。

また、インプラント治療は最低限の骨の高さ・厚みがないと手術ができないこともよくあります。そこで、コンピューターガイデッドサージェリーに加えてソケットリフトという方法を併用し、インプラントの手術を行うことにしました。

上あごの奥歯の骨の上には上顎洞という鼻の組織があります。抜歯を行うと骨の高さがなくなり、インプラント手術で上顎洞にインプラントが入ってしまうと、細菌感染し蓄膿症を起こしてしまいます。

ソケットリフトとは、インプラントを入れる穴に自家骨や骨補填材を入れて、インプラントをテントの支柱の様にし骨の高さを増やす方法です。今回はオステオトームという器具を用いてソケットリフトを行うことにしました。

オステオトームを用いて上顎洞の底の粘膜を持ち上げ、持ち上げた所のスペースに人工骨や自家骨を入れて、骨の高さを増やしてインプラントを入れる必要量を確保しました。

手術直後のCTです。ここからインプラントが安定するまで、半年待ちます。

半年後のCTです。インプラントの周りに、骨様の組織ができております。また上顎洞に感染を疑うような像は見られませんでした。

インプラントのかぶせ物を作るにあたり、まずインプラントの頭を出す手術を行い、インプラントの周りの歯ぐきの形を整えます。

歯の周りの歯ぐきには、遊離歯肉と付着歯肉があります。簡単に説明すると、遊離歯肉というのは、引っ張ったりすると動く歯ぐきのことで、付着歯肉というのは動かない歯ぐきのことです。奥歯は基本的に付着歯肉が少ないです。

 付着歯肉が不足すると、歯を磨いた時に歯の周りの歯ぐきが動いてしまうので、歯とインプラントの根本の部分を磨くことが難しくなります。磨き残しがあると、虫歯や歯周病になってしまいます。

 インプラントに関しても同じことが言えます。虫歯にはなりませんが、歯周病になります(インプラントの場合、インプラント周囲炎と言います)。

 奥のインプラントの部位の周りの付着歯肉は十分あったのですが、手前のインプラントの周りには付着歯肉が不足していました。よって、手前の部分はインプラントの頭を出す手術に合わせて、付着歯肉の幅を増やす方法(今回はbuccally positioned flap)も合わせて行いました。

付着歯肉の幅を増やし、インプラントを掃除しやすい状態にすることで、インプラントが長持ちしやすくなります。

インプラントの頭出しの手術をして1か月待ちました。手前のインプラントの付着歯肉は幅が増えました。状態も良好なので、歯型をとりかぶせ物を作ることにしました。

かぶせ物を製作する技工士にインプラントの位置を正確に伝えるため、歯型を取る専用の器具(写真黄色〇)をインプラントに装着し、歯型を取りました。

製作されたかぶせ物です。

インプラントの被せ物は、スクリュー(ネジ)で固定するタイプと、セメントで固定するタイプがあります。セメントで固定するタイプを今回は採用しました。

セメント固定のタイプは、土台とかぶせ物が別々になっていて、土台はインプラントとスクリューで固定します。土台が骨に入った2本のインプラントの平行性を微調整します。その土台にかぶせ物をセメントで固定します。

スクリューの穴はかぶせ物にありませんので、見た目はとても良いです。その反面、セメントで固定する為、セメントが残っているとインプラント周りの歯ぐきに炎症を起こす可能性があります。

土台がきれいにインプラントと固定されました。

ほとんど調整の必要がなく、かぶせ物が入りました。奥歯で食事がしっかりとでき、きれいなかぶせ物が入ったことで、患者様は非常に喜ばれました。今後はインプラントと残っている歯が長く健康でいられるように、定期的な清掃で通っていただくことになりました。

年齢:60代 男性

治療期間:8か月

治療回数:4回(消毒、抜糸を含むと8回)

治療費:949,500円(税込)(初診料2,000円 再診料 1回1,000円 インプラント埋入275,000円 2本目220,000円 頭出し11,000円 歯型取り5,500円 かぶせ物429,000円(3本分))

【インプラント治療のメリット】
・隣の歯を削らなくてよい
・かみ合わせの崩壊が進みにくい
・残っている歯に過剰な力がかかりにくい

・自分の歯と近い感覚で食事を楽しめる

【インプラント治療のリスク・デメリット】
・インプラントも歯周病と同じで、周りの歯ぐきや骨が炎症を起こします。ひどくなれば周りの骨が溶けてしまい、歯と同じように抜け落ちてしまいます。天然の歯よりもインプラントは細菌に感染しやすいので、インプラント治療後は毎日の歯磨きに気をつけなければいけません。

・インプラント治療は手術が必要です。体の病気の状態によっては、インプラント治療ができない場合があります。また、病気に配慮した上でインプラント治療が行えた場合でも、その後インプラントが長持ちしない可能性があります。

・インプラント手術の過程で下顎の神経に触れてしまうことにより、神経が損傷したり、圧迫されたりして起こります。当院ではCT画像で神経の位置を確認、把握し、神経麻痺が起こらないように精査しております。

・インプラント手術の過程で血管を損傷したとき大量出血する可能性があります。
こちらに関しましても、当院ではCT画像で血管の位置を確認、把握し、血管損傷が起こらないように精査しております。

・インプラント手術後、腫れや痛みが長期間続く場合は細菌の感染が疑われます。その場合は抗菌剤の投薬などで様子を見ますが、最悪の場合はインプラントを除去する可能性もあります。当院ではこのようなことが起きないように、手術前の検査や手術中の衛生管理を徹底しております。

・過度な力がかかるとかぶせ物が欠けたりする場合やインプラントが脱落することがあります。

・喫煙はインプラントの成功率を下げます。

・十分な骨の量が不足する場合は、骨を作る処置が必要となり、治療期間が長くなる場合があります。 

インプラント治療は健康保険がききませんので、今回の治療は自由診療(自費)になり費用がかかります。

当院は保険診療でも抜けた歯を補う治療に取り組んでおりますので、歯のことでお悩みの方は、ぜひ当院にお越しください。

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