みつおデンタルクリニック

放置すると抜歯になる「内部吸収」、神経を取って進行を止め歯を残せた左下奥歯の症例

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放置すると抜歯になる「内部吸収」、神経を取って進行を止め歯を残せた左下奥歯の症例

放置すると抜歯になる「内部吸収」、神経を取って進行を止め歯を残せた左下奥歯の症例

2026/11/01

治療前後の比較

初診時の状態

今回ご紹介するのは、左下の奥歯に大きな虫歯が見つかり、他院で「神経を取らなければならない」と言われた患者様の症例です。患者様は、できることなら歯の神経(歯髄)を残したいという強いご希望をお持ちで、インターネットで調べて当院を見つけ、ご来院くださいました。神経を取る治療は一般的に「抜髄(ばつずい)」と呼ばれ、歯の中にある神経や血管の組織を取り除く処置です。神経を取ると歯がもろくなりやすいと言われているため、できるだけ神経を残したいと考える患者様は少なくありません。

お口の中を拝見したところ、左下の奥歯には虫歯と思われる穴が確認できました。下の写真の青い矢印の部分が、虫歯によってできた穴です。見た目だけでは虫歯の深さや神経との距離は分かりにくいため、次にCT撮影による精密検査を行うことにしました。

左下の奥歯。虫歯と思われる穴がある(青矢印部)

精密検査(CT)で分かったこと

CT(コンピューター断層撮影)で歯の内部を詳しく確認したところ、虫歯が神経にかなり近い位置まで進行していることが分かりました。下の画像でも、虫歯が神経のすぐそばまで達している様子が確認できます。この時点では、歯の神経の一部を保存しながら治療を行う「VPT(生活歯髄療法)」と呼ばれる方法で、神経を残せる可能性があると考えていました。

CTで確認すると、神経に接するくらい大きな虫歯ができている。神経を残すVPTは可能と思われた。

ところが、CTの画像をさらに精密に確認していくと、歯の内部に「内部吸収」と呼ばれる状態が見つかりました。内部吸収とは、何らかの原因で歯の神経の組織に変化が起こり、歯を内側から溶かすように進行してしまう現象です。原因がはっきり分からないことも多く、いわば神経の細胞に予期せぬ変化が起こり、歯自体が内側から徐々に食べられてしまうようなイメージに近いかもしれません。内部吸収は自然に治ることはなく、放置すると吸収の範囲がどんどん広がり、最終的には歯を支えきれなくなって抜歯が必要になることもあります。歯科の研究論文でも、内部吸収の進行を止めるには神経を取り除く処置(抜髄)が必要とされています。今回もその考え方にもとづいて、抜髄を行うことにしました。

CTを精密に検査すると、内部吸収が見られた。吸収の進行を止めるには神経を取らないといけない。

治療方針のご説明とご了承

内部吸収が見つかったことで、当初考えていたVPT(神経を残す治療)だけでは対応が難しく、抜髄が必要であることを患者様にご説明いたしました。内部吸収のある歯は、進行を止めるために神経を取らなければならないケースがほとんどです。神経を残したいというお気持ちは十分理解できましたが、内部吸収を放置した場合のリスクについて丁寧にお伝えし、患者様にもご納得いただいた上で、抜髄による治療を進めることになりました。

治療の流れ(顕微鏡を用いた精密治療)

治療にあたっては、マイクロスコープ(歯科用の顕微鏡)、CT、ラバーダム(治療中に唾液や細菌が入り込むのを防ぐゴム製のシート)、ニッケルチタンファイル(根の中を清掃する、しなやかな金属の器具)、ピエゾフローや超音波機器(根の中の洗浄・清掃を行う器械)、MTAセメント(根の中をすき間なくふさぐ、体になじみやすい材料)を使用しました。まずラバーダムを装着して歯を唾液から守ったうえで、歯科用顕微鏡を使用して根管(歯の神経が通っていた管状の部分)の内部を拡大しながら確認しました。顕微鏡を使うことで、肉眼では見えにくい小さな変化も見つけやすくなります。実際に根管内を詳しく観察したところ、内部吸収による穴を発見することができました。

顕微鏡で根管内を詳しく見ると、内部吸収の穴を発見した(青矢印部)

さらに根管の形態を確認したところ、通常であれば近心側(手前側)の根には根管が2本であることが多いのですが、今回はその2本の間にもう1本、合計3本の根管が見つかりました。これは珍しい形態で、見落として処置をそのままにしてしまうと、内部吸収がさらに進行したり、根の先に病気(根尖病変)が起きてしまう可能性があります。そのため、3本すべての根管を丁寧に確認しながら処置を進めました。

通常根管は2つだが、その間にもう1つ根管が見つかった。取り残すと内部吸収の進行や根の病気が起こってしまう。

ニッケルチタンファイルで根管の中を整えながら、ピエゾフローや超音波機器を使って、根管および内部吸収が起きていた部分の清掃を行い、汚れや感染した組織をしっかりと取り除きました。内部吸収でできたくぼみは器具が届きにくいため、洗浄液を行き渡らせて清掃できる器械が役立ちます。清掃後は、根管内がきれいになっていることを確認しています。

根管と内部吸収部の清掃を行い綺麗になったことを確認

清掃が終わった後は、内部吸収の進行を止める効果が期待できるMTAセメントという材料を根管内につめました。MTAセメントは、すき間を封じる力が高く、体になじみやすいことから、歯科領域で広く使用されている材料です。下の写真の黄色い丸で囲んだ部分が、MTAセメントをつめた箇所になります。

内部吸収の進行を止める効果があるMTAセメントをつめた(黄色〇部)

治療後の経過

治療から3年が経過した時点で経過を確認したところ、内部吸収の進行は見られず、根の先に病気(根尖病変)が起きている様子もありませんでした。下の写真が、治療後3年経過時のCT画像です。大きな変化なく経過していることが確認できます。内部吸収を早い段階で見つけ、神経を取ることで進行を止められたため、将来抜歯になるのを防ぎ、歯を残すことができました。患者様は大変喜ばれました。本当に良かったです。

治療後3年経過。吸収の進行や根の病気は見られない。

なぜ内部吸収のある歯は抜髄が必要なのか

内部吸収は、歯の神経の組織そのものに異常が起きることで発生するため、原因となっている神経を取り除かない限り、進行を止めることは難しいとされています。VPTのように神経の一部を保存する治療は、虫歯が神経に近づいている程度であれば選択できることがありますが、今回のように内部吸収がすでに起きている場合は、神経を保存する方法では吸収の進行を抑えられません。そのため、内部吸収が見つかった歯については、抜髄を行って進行を止める治療が必要になります。

ご自宅での注意点

治療後は、歯の神経を取っているため痛みなどの自覚症状が出にくくなります。そのため、違和感がなくても自己判断で通院を中断せず、歯科医師の指示通りに通っていただくことが大切です。また、神経を失った歯は栄養が届きにくくなりもろくなりやすいと言われているため、かぶせ物を装着するまでの間は治療した歯でかたいものを強く噛まないようご注意ください。普段のお手入れについても、歯みがきやフロスなどで周囲を清潔に保っていただくことが、長く歯を使っていただくために重要です。

よくあるご質問

Q.神経を残す治療(VPT)ではなく、なぜ抜髄になったのですか?

A.CTおよび顕微鏡での検査の結果、歯の内部に吸収が起きていることが分かったためです。歯科の研究論文でも、内部吸収は神経を残す治療では進行を止められず、抜髄が必要とされています。

Q.神経を取った歯はどうなりますか?

A.痛みなどを感じにくくなる一方、栄養が届きにくくなりもろくなりやすい傾向があるため、かぶせ物などで補強することが一般的です。

Q.内部吸収はなぜ起こるのですか?

A.はっきりとした原因が特定できないことも多く、神経の組織に何らかの変化が生じることで起こると考えられています。

まとめ

今回は、虫歯が大きく神経を取るよう勧められたものの神経を残したいというご希望で当院を受診された患者様に、CTと顕微鏡を用いた精密な検査を行った結果、内部吸収が見つかり抜髄に至った症例をご紹介しました。内部吸収は見た目だけでは分かりにくく、精密な検査によって初めて発見できることがあります。神経を残したいというお気持ちがある場合でも、状態によっては抜髄が必要になることがありますので、気になる症状がある方はご相談ください。

院長紹介

院長 高津光雄

みつおデンタルクリニック 院長
精密な検査と治療で歯を守る会 代表 高津光雄

トロント大学 根管治療 スタディプログラム 卒業
寺内吉継先生、フリードマン先生(Prof. Emeritus Shimon Friedman・トロント大学名誉教授)に師事し、
世界基準の根管治療を習得。根管治療の名医として「名医のチョイス」に掲載

難治性の根の病気に対する根管治療法を考案

健康な歯をできる限り削らない「ハーミノス虫歯治療法®」(特許庁・商標登録)を考案

大阪梅田・天満で、精密な根管治療と虫歯治療を提供できるよう日々研鑽

今回の治療について

年齢・性別40代男性
治療部位左下第一大臼歯
治療期間2週間
治療回数2回
治療費120,000円(税込)かぶせ物の費用は別途。
注記自由診療です。かぶせ物の費用は別途かかります。

メリット

  • 顕微鏡を用いた精密な処置により、内部吸収や複雑な根管形態の見落としを防ぎやすい
  • MTAセメントの使用により内部吸収の進行を抑える効果が期待できる
  • 抜歯を回避し、歯を残せる可能性がある

デメリット・リスク

  • 神経を取る(抜髄)ことで歯への栄養供給が減り、歯がもろくなりやすい
  • 治療後にかぶせ物など追加の処置が必要になる
  • まれに治療後も症状が再発し、再治療が必要になる場合がある

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みつおデンタルクリニック
〒530-0036
住所:大阪府大阪市北区与力町4-15 ダイナスティ与力101
電話番号 :06-6948-6232


高技術な根管治療を天満で実施

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