みつおデンタルクリニック

『虫歯なし』と言われたのに激痛?咬む力による歯の欠けから神経が露出した奥歯の抜髄症例 

お問い合わせはこちら 初診の方のWEB予約はこちら

『虫歯なし』と言われたのに激痛?咬む力による歯の欠けから神経が露出した奥歯の抜髄症例 

『虫歯なし』と言われたのに激痛?咬む力による歯の欠けから神経が露出した奥歯の抜髄症例 

2026/11/03

治療前後の比較

初診時の状態

来院されたのは20代の男性の患者様で、「左上の奥歯がとても痛い、しみる」という強い症状を訴えておられました。実は当院を受診される前に、近くの歯科医院を受診されたそうなのですが、その際には「虫歯はありません」と説明を受け、しみ止めのお薬を塗ってもらう処置のみで終わったとのことでした。ところが、その後も痛みはまったく治まらず、むしろ悪化していく一方だったため、「原因をきちんと詳しく調べてほしい」というお気持ちで当院を受診されました。

精密検査でわかったこと

お口の中を拝見すると、歯ぐきに近い歯の根元の部分が大きくかけていることが確認できました。これは虫歯ではなく「くさび状欠損」と呼ばれるもので、歯ぎしりや食いしばりなど、強い力で歯を咬みしめる習慣によって、歯の表面がV字型にすり減ってしまう状態です。今回は、このくさび状欠損がかなり進行してしまっており、歯の内部にある神経(歯髄)にまで達して露出していました。

患者はかむ力が強く、歯の根元がかけて神経が露出してしまっている(青矢印部)

お口の中の確認に加えて、CT撮影による立体的な画像診断も行いました。黄色の点線で囲んだ部分を見ると、歯が大きく欠けていることが一目でわかります。この欠けた部分から神経が露出し、そこに細菌が入り込んで感染を起こしてしまったと考えられました。

CTで確認。歯が大きくかけて(黄色点線部)、神経が露出し、細菌感染したと思われる

診断と治療方針

これらの所見から、「急性化膿性歯髄炎」という診断に至りました。これは、歯の神経(歯髄)に細菌感染が起こり、強い炎症とともに膿がたまってしまっている状態を指します。神経自体がかなり傷んでしまっているため、神経を残したまま治すことは難しく、感染源である神経を取り除く「抜髄(ばつずい)」という治療を行うことになりました。抜髄とは、歯の中を通っている神経や血管の集まりである歯髄を取り除き、その後にできる空洞を薬剤でしっかりふさぐ治療のことです。

治療の流れ(使用した器具・方法)

治療にあたっては、CTで根の形をあらかじめ確認したところ、この歯の根っこは大きく曲がっていることがわかりました。根が曲がっていると、治療の際に神経を取り残してしまうリスクが高くなるため、通常以上に慎重な操作が求められます。

根っこが大きく曲がっている。慎重に治療しないと神経を取り残してしまう

実際に神経の状態を確認すると、強い炎症を起こしており、根の中から膿(うみ)が出てくる様子が見られました。これは感染がかなり進行していたことを示しています。感染を放置すると、炎症が歯の根の先からさらに周囲の骨にまで広がってしまうおそれがあるため、早めの対応が必要でした。

神経は強く炎症しており、根から膿(うみ)が出てきた(青矢印部)

処置では、しなやかに曲がりながら根の内部を削ることができるニッケルチタンファイルという専用の器具を使用し、曲がった根の先端まで慎重に神経を取り除いていきました。この歯には神経の通り道(根管)が2つあることがわかり、取り残しがないよう、ラバーダム(治療部分を唾液や細菌から守るためのゴム製のシート)で歯を隔離した状態で、一つひとつ丁寧に処置を行いました。

神経を取り残さないように丁寧に除去。2つあった

すべての神経を取り除いたあとは、根の内部をMTAセメントという、体になじみやすい性質を持つ薬剤でつめました。レントゲン写真でも、曲がった根の先端までしっかりとMTAセメントがつまっている様子が確認でき、空洞を残さず封鎖できたことがわかります。

MTAセメントをつめた。曲がった根の先までつまっていることがわかる

治療後の経過

治療後、2年が経過した時点で経過観察を行ったところ、根の先に新たな病変(根尖病変)の発生は見られず、安定した状態を保てていました。

なぜこの治療が必要だったか(原因の説明)

今回の症状の根本的な原因は虫歯ではなく、強い咬む力によって生じた「くさび状欠損」でした。咬む力が強い方や、歯ぎしり・食いしばりの癖がある方は、知らないうちに歯の根元へ大きな負担がかかり続け、欠損が少しずつ進行してしまうことがあります。欠損が深くなると、今回のように神経にまで到達し、そこから細菌感染を起こして強い痛みにつながることがあります。くさび状欠損は虫歯とは原因が違うため、「虫歯はない」という結果でも、歯のかけた部分から神経に刺激や細菌が届き、痛みが出ていることがあります。

ご自宅での注意点

治療した歯を長持ちさせるために、ご自宅では次の点に気をつけていただくと安心です。

まず、かぶせ物が入るまでの間は、治療した歯で硬いものを咬むのは控えてください。神経を取った歯は、かぶせ物で守られるまでは欠けたり割れたりしやすい状態です。

次に、今回の原因は強い咬む力でした。歯ぎしりや食いしばりの癖がある方は、寝ている間にマウスピースを使うことで、歯にかかる負担を減らすことができます。日中も、ふと気づいたときに上下の歯が当たっていないか確かめ、当たっていたら力を抜くようにしてみてください。

また、くさび状欠損はほかの歯の根元にもできることがあります。冷たいものがしみる歯があれば、早めにご相談ください。

よくあるご質問

Q. 虫歯がないのに、神経を取る必要があるのですか?

A. 今回は、歯のかけた部分から神経が外に出てしまい、そこから細菌が入って神経に強い炎症が起き、膿まで出ている状態でした。ここまで進むと神経を元に戻すことは難しいため、虫歯がなくても神経を取る治療が必要になります。

Q. 根が曲がっていても治療できますか?

A. 曲がった根は、治療の難しさが上がります。今回は治療前にCTで根の曲がり方を確かめ、しなやかに曲がる器具(ニッケルチタンファイル)を使って、根の先まで神経を取り除きました。

Q. 神経を取った歯は、その後どうなりますか?

A. 神経がなくなるため、新しい虫歯ができても痛みで気づきにくくなります。また、かぶせ物で守らないと欠けやすくなります。治療後も定期的な検診で状態を確かめることが大切です。

まとめ

今回は、虫歯ではなく咬む力によるくさび状欠損が原因で神経が露出し、急性化膿性歯髄炎を発症した症例をご紹介しました。根が大きく曲がっている歯の治療は難易度が高くなりますが、マイクロスコープやCTなどを活用しながら慎重に処置を行うことで、神経を取り残すことなく治療を終えることができました。歯のしみや痛みが続く場合、虫歯以外の原因が隠れていることもありますので、気になる症状がある方は一度詳しい検査を受けてみることをおすすめします。

院長紹介

院長 高津光雄

みつおデンタルクリニック 院長
精密な検査と治療で歯を守る会 代表 高津光雄

トロント大学 根管治療 スタディプログラム 卒業
寺内吉継先生、フリードマン先生(Prof. Emeritus Shimon Friedman・トロント大学名誉教授)に師事し、
世界基準の根管治療を習得。根管治療の名医として「名医のチョイス」に掲載

難治性の根の病気に対する根管治療法を考案

健康な歯をできる限り削らない「ハーミノス虫歯治療法®」(特許庁・商標登録)を考案

大阪梅田・天満で、精密な根管治療と虫歯治療を提供できるよう日々研鑽

今回の治療について

年齢・性別20代男性
治療部位左上第二小臼歯
治療期間2週間
治療回数2回
治療費120,000円(税込)※かぶせ物の費用は別途
注記自由診療です。

メリット

  • マイクロスコープやCTを使って根の形を確かめながら処置するため、曲がった根でも神経の取り残しを防ぎやすい
  • MTAセメントで根の内部をしっかり封鎖することで、再感染のリスクを抑えられる可能性がある
  • 感染源となっていた神経を除去することで、強い痛みの原因そのものに対応できる

デメリット・リスク

  • 治療後に一時的な痛みや違和感が生じる場合がある
  • 神経を取った歯は栄養供給が絶たれるため、将来的にもろくなったり変色したりする可能性がある
  • 根の形が複雑な場合、治療が難しくなったり、再感染により再治療が必要になることがある
  • 神経を取った歯は痛みを感じにくくなるため、新たな虫歯の発見が遅れる可能性がある

----------------------------------------------------------------------
みつおデンタルクリニック
〒530-0036
住所:大阪府大阪市北区与力町4-15 ダイナスティ与力101
電話番号 :06-6948-6232


高技術な根管治療を天満で実施

----------------------------------------------------------------------

当店でご利用いただける電子決済のご案内

下記よりお選びいただけます。