歯がズキズキ痛む原因は虫歯の再発|骨が大きく溶けた根尖性歯周炎の感染根管治療
2026/11/08
初診時の状態
今回ご来院いただいたのは、右下の前から5番目の歯(小臼歯)がズキズキと1週間ほど痛み続けているという患者様です。歯ぐきも腫れており、咬むとさらに強い痛みを感じる状態でした。「精密に治療してほしい」というご希望で、当院を受診されました。
お口の中を拝見すると、歯ぐきが大きく腫れており、膿が出ている状態が確認できました。下の写真の黄色い丸で囲んだ部分が、実際に膿が出ていた箇所です。かぶせ物の内部で虫歯が再発する「二次カリエス」が起こり、そこから細菌が根の先まで感染を広げたことで、根の先に膿がたまる急性化膿性根尖性歯周炎という状態になっていると考えられました。
精密検査(CT)で分かったこと
肉眼やレントゲンだけでは分かりにくい部分も含めて確認するため、CT(歯や骨の状態を立体的に撮影できるレントゲンの一種)で詳しく検査しました。CT画像を確認すると、根の先の炎症が急速に広がっており、顎の骨が広範囲にわたって溶けていることが分かりました。下の写真の黄色い点線で囲んだ部分が、骨が溶けている範囲です。
CTのデータから作成した3D画像でも、骨が溶けている様子をより立体的に確認することができました。下の写真の黄色い矢印で示した部分のように、根の大部分が見えてしまうほど周囲の骨が溶けてなくなっていることが分かります。これほど骨が溶けている状態は、感染がかなり進行していたことを示しています。
診断と治療方針
検査の結果、診断名は「急性化膿性根尖性歯周炎」でした。これは、歯の根の先に感染が起こり、そこに膿がたまって急激に炎症が強くなっている状態を指します。今回の原因は、かぶせ物の中で虫歯が再発する二次カリエスでした。見た目には分かりにくいかぶせ物の内部で虫歯が進行し、歯の神経まで細菌感染が及んでいたのです。このまま放置すると、さらに骨が溶け進んだり、歯を支えられなくなったりする可能性があるため、感染した根の中をしっかりと清掃・消毒する「感染根管治療」を行うことにしました。感染根管治療とは、虫歯や外傷などによって歯の中の神経(歯髄)が細菌に感染してしまった場合に、その感染した組織を取り除き、根の内部を消毒してから薬剤でふさぐ治療のことです。
治療の流れ(使用した器具・方法)
治療にあたっては、マイクロスコープ(歯科用の手術用顕微鏡)で根の中を拡大して確認しながら、CTによる立体的な情報も参考にして進めました。治療中は、ラバーダムという薄いゴム製のシートを歯にかぶせ、治療している歯だけをお口の中の他の部分や唾液から隔離することで、治療中に新たな細菌が入り込むのを防ぎました。根の中の汚染された組織は、しなやかによく曲がる、根の中を掃除する器具であるニッケルチタンファイルや、超音波機器、ピエゾフローと呼ばれる機器を使って丁寧に取り除き、根の内部をできる限り清潔な状態にしました。
感染していた神経や汚染された組織を除去したあと、根の先端部分をMTAセメントという生体親和性の高い材料でつめました。MTAセメントは殺菌作用があり、根の先の組織の修復を促す効果が期待できる材料です。下の写真は、神経を除去してMTAセメントをつめた直後の様子です。
治療後の経過
治療から3年が経過した時点で経過を確認したところ、あれほど大きく溶けていた顎の骨がしっかりと再生していることが確認できました。痛みや腫れも一切なく、安定した状態が続いています。下の写真は、治療後3年が経過した時点のものです。
3D画像で改めて確認しても、根の周りに骨がしっかりと再生している様子がよく分かります。下の写真がその3D画像です。これほど大きく骨が溶けていた状態からここまで回復されたことに、患者様は大変喜ばれました。本当に良かったです。
なぜこの治療が必要だったのか(原因の説明)
今回のケースのように、かぶせ物をしている歯は、外から見ただけでは中の状態が分かりにくいという特徴があります。かぶせ物と歯の境目からわずかに細菌が入り込み、かぶせ物の内部で虫歯が再発してしまうことを二次カリエスと呼びます。二次カリエスは自覚症状が出にくく、気づいたときには神経まで感染が進んでいたり、今回のように根の先まで炎症が広がっていたりすることも少なくありません。そのため、定期的なレントゲンやCTによるチェックが、早期発見のために重要になります。
ご自宅での注意点
治療した歯は、根の内部が消毒された状態ではありますが、治療直後はまだ歯や周囲の組織が安定しきっていないことがあります。治療した側で硬いものを強く咬んだり、長時間咬みしめたりすることは避けていただくようお願いしています。また、痛みや腫れが続く場合や、再び違和感を感じた場合は、早めにご連絡いただくことが大切です。
よくあるご質問
Q. 感染根管治療をすれば、必ず歯を残せますか。A. 感染の広がり方や骨の状態によって経過は異なります。今回の症例では骨の再生が確認できましたが、すべてのケースで同じ経過をたどるとは限りません。Q. 治療にはどのくらいの回数がかかりますか。A. 感染の程度によって異なります。今回の症例では、2週間で2回の通院で治療を終えています。
まとめ
今回は、かぶせ物の中で進行した二次カリエスが原因で、急性化膿性根尖性歯周炎を発症し、顎の骨が大きく溶けてしまっていた右下の歯の症例をご紹介しました。マイクロスコープやCT、ラバーダムなどを用いた感染根管治療によって、3年後には骨がしっかりと再生し、痛みや腫れのない状態を維持できています。かぶせ物の下の虫歯は自覚しにくいため、気になる症状がある場合は早めに検査を受けていただくことをおすすめします。
院長紹介
みつおデンタルクリニック 院長
精密な検査と治療で歯を守る会 代表 高津光雄
トロント大学 根管治療 スタディプログラム 卒業
寺内吉継先生、フリードマン先生(Prof. Emeritus Shimon Friedman・トロント大学名誉教授)に師事し、
世界基準の根管治療を習得。根管治療の名医として「名医のチョイス」に掲載
難治性の根の病気に対する根管治療法を考案
健康な歯をできる限り削らない「ハーミノス虫歯治療法®」(特許庁・商標登録)を考案
大阪梅田・天満で、精密な根管治療と虫歯治療を提供できるよう日々研鑽
今回の治療について
| 年齢・性別 | 60代男性 |
|---|---|
| 治療部位 | 右下第二小臼歯(右下5番) |
| 治療期間 | 2週間 |
| 治療回数 | 2回 |
| 治療費 | 120,000円(税込)かぶせ物の費用は別途。 |
| 注記 | 自由診療です。 |
メリット
- 感染源となっている細菌を根の内部から除去し、炎症の改善を図れる
- 歯を残す可能性を検討できる治療法である
- MTAセメントなど生体親和性の高い材料を使用できる
デメリット・リスク
- 治療後に一時的な痛みや違和感が生じることがある
- 感染の程度によっては治療回数が複数回に及ぶことがある
- 状態によっては治療後も症状が改善せず、外科的処置や抜歯が必要になる場合がある
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みつおデンタルクリニック
〒530-0036
住所:大阪府大阪市北区与力町4-15 ダイナスティ与力101
電話番号 :06-6948-6232
高技術な根管治療を天満で実施
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