みつおデンタルクリニック

できものの原因は、珍しい3つ目の神経の取り残しでした。抜歯を回避できた根管治療の症例

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できものの原因は、珍しい3つ目の神経の取り残しでした。抜歯を回避できた根管治療の症例

できものの原因は、珍しい3つ目の神経の取り残しでした。抜歯を回避できた根管治療の症例

2026/09/26

目次

    初診時の状態

    今回ご紹介するのは、左下の奥歯にできものができた50代男性の患者様の症例です。

     

    患者様は、近くの歯科医院で左下第一大臼歯の抜髄(神経を取る治療)を受けられました。ところが、その3か月後に歯ぐきにできものができてしまい、治療を受けたその歯科医院に相談したところ、「治療自体は問題なくできている。このようなできものができるのは通常はなく、根を半分に割るか、抜歯するしかない」と説明を受けたそうです。

     

    できものはあったものの痛みはなかったため、「抜歯を選ぶのはまだ早いのではないか」と考え、歯を抜かずに残してくれる歯科医院がないかインターネットで探し、当院を受診されました。

     

    お口の中を確認すると、左下の奥歯(第一大臼歯)の歯ぐきに、できもののような膨らみが見られました。

    診断は「左下第一大臼歯根尖性歯周炎」でした。これは歯の根の先端(根尖)に細菌感染による炎症が起き、周囲の骨が溶けてしまう病気です。念のため、CTによる精密検査でさらに詳しく状態を確認することにしました。

    精密検査(CTによる確認)

    CT撮影(歯やあごの骨を立体的に撮影できる検査)を行うと、通常の根尖性歯周炎とは異なり、根の先端よりも2つの根の間の骨が大きく溶けているという、やや珍しい所見が見つかりました。

     

    根と根の間に大きな骨吸収が見られる場合は、治療の際に誤って穴が開いてしまうパーフォレーションや、歯のヒビ(クラック)が原因であることも考えられるため、まずはこれらの可能性も念頭に置きながら検査を進めました。

    同じ部分を3D画像で確認しても、根っこの間の骨が溶けている様子がはっきりと分かりました。

    上から見たCT画像では、2つの神経の管の間に黒い影が確認できました。これは以前の治療で神経が取り残されている可能性や、神経の管同士をつなぐ溝(イスムスと呼ばれる部分)に感染が残っている可能性を示すものです。

    治療方法の選択

    検査の結果を踏まえ、歯を抜かずに残すことを目指して、感染根管治療(以前の根管治療をやり直すリトリートメントという方法)を行うことにしました。

     

    まず、先ほど触れたクラック(ヒビ)の可能性を確認するため、歯にヒビ割れがないかを調べました。ヒビが深く根の先まで達している場合は、抜歯が必要になることもあるためです。確認したところ、ヒビは見られたものの浅いもので、今回の骨の病気に直接関係するものではないと判断しました。

    治療の流れ(1回目)

    治療では、まず以前つめられていた薬剤を取り除いたうえで、マイクロスコープ(歯科用顕微鏡)で根の内部を拡大しながら、細い器具で根管の入り口を一つひとつ丁寧に探っていきました。

     

    CTでの予想通り、この探索の中で神経の取り残しが見つかりました。通常、この歯の神経の管は2本ですが、今回はその間にもう1本、合わせて3本目の神経の管が見つかったのです。パーフォレーション(穴)は見られず、根と根の間の骨が溶けていた本当の原因は、この取り残されていた3本目の神経の管だったことがわかりました。

     

    見つかった根管は専用の器具で拡大しながら清掃し、最後にピエゾフロー(超音波の振動を利用して根の中を洗浄する器具)で仕上げの洗浄を行いました。

    治療後にCTで確認したところ、取り残されていた神経の様子がよく分かりました。

    神経を1本取り残すだけでも、その中には何億もの細菌が残ってしまうことになります。これが炎症や骨の吸収の原因になっていたと考えられます。

    治療の流れ(2回目・仕上げ)

    2回目の治療を開始した時点で、歯ぐきにあったできものはすでに無くなっていました。この時点で、原因はやはり取り残されていた神経であったことが確認できました。

    根管内をきれいにした後、根の先端をしっかりと封鎖するため、MTAセメント(封鎖性が高く生体との親和性にも優れた、根の治療で使われる特殊な材料)を根の中につめました。

    治療後の経過

    治療から1年後にCT撮影を行い経過を確認したところ、以前溶けていた骨が再生していることが分かりました。患者様は大変喜ばれました。本当に良かったです。

    その後4年が経過した現在も、状態は良好で経過観察を続けています。歯を抜かずに残すことができた症例です。

    なぜこの治療が必要だったのか

    根尖性歯周炎は、歯の神経の通り道である根管の中に残った細菌が原因で起こることが多くあります。今回のケースのように、以前の根管治療で神経の管を1本取り残してしまうと、そこに細菌が住み着き、時間をかけて根の先の骨を溶かしてしまうことがあります。

     

    歯を残すためには、取り残された感染源を見つけ出し、丁寧に取り除くことが重要です。特に奥歯は根の数や形が複雑なことが多く、通常の見た目やレントゲンだけでは判断しきれない場合があります。今回のようにCTによる立体的な検査を行うことで、見落とされやすい根管の存在にも気づくことができました。

    よくあるご質問

    Q. 一度根管治療を受けた歯なのに、なぜ神経の取り残しが見つかったのですか。

    A. 歯の根の内部にある根管は、肉眼では確認しきれないほど複雑に枝分かれしていることがあります。通常のレントゲンは平面的な画像のため、こうした細かい根管の存在を見落としてしまうことがあります。今回はCTによる立体的な検査を行ったことで、見えにくかった3本目の根管の存在に気づくことができました。

     

    Q. 抜歯をすすめられた歯でも、残せる可能性はありますか。

    A. 歯の根の形や周囲の骨の状態、ヒビの有無などによって適応は異なるため、一概にお答えすることはできません。まずはCTなどの精密な検査で原因を確認し、抜歯以外の方法で対応できる可能性があるかどうかを一緒に検討することが大切です。

    まとめ

    今回は、抜歯を勧められた左下の奥歯を、感染根管治療によって残すことができた症例をご紹介しました。CTでの精密な検査により、通常2本のはずの神経の管の間に3本目の管が隠れていることを見つけ出し、取り残されていた感染源を除去したことが、状態の改善につながったと考えられます。

    根管治療を一度受けた歯であっても、症状が長引いたり歯ぐきに変化が見られたりする場合は、精密な検査によって原因を特定できることがあります。気になる症状がある場合は、精密な検査を受けてみることをおすすめします。

    みつおデンタルクリニック 院長

    精密な検査と治療で歯を守る会 代表 高津光雄

    トロント大学 根管治療 スタディプログラム 卒業
    寺内吉継先生、フリードマン先生(Prof. Emeritus Shimon Friedman・トロント大学名誉教授)に師事し、

    世界基準の根管治療を習得。根管治療の名医として「名医のチョイス」に掲載

    難治性の根の病気に対する根管治療法を考案

    健康な歯をできる限り削らない「ハーミノス虫歯治療法®」(特許庁・商標登録)を考案

    大阪梅田・天満で、精密な根管治療と虫歯治療を提供できるよう日々研鑽

    │トロント大学 根管治療プログラム 卒業│

    【今回の治療について】

    年齢・性別:50代男性

    治療部位:左下第一大臼歯

    治療期間:1週間

    治療回数:2回

    治療費:120,000円(税込)※自由診療です。

     

    ●メリット

    抜歯を避け、ご自身の歯をできるだけ長く残せる可能性がある

    CTによる立体的な検査で、通常のレントゲンでは見つけにくい根管の取り残しなどの原因を確認できる

    超音波洗浄器具を用いた精密な清掃で、根管内の複雑な部分の感染源も丁寧に取り除ける

    治療後もCT画像で骨の再生状況を確認しながら経過を見ていける

    ●デメリット・リスク

    根管の状態や感染の程度によっては、治療を行っても症状が改善せず、抜歯や外科的処置が必要になる場合がある

    根の形が複雑な場合、治療回数や期間が当初の見立てより増えることがある

    治療後も再び感染が起こる可能性がゼロではなく、定期的な経過観察が必要になる

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    高技術な根管治療を天満で実施

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